2024年度 県内企業賃金動向調査結果
【調査結果概要】
賃金改善動向(正社員)
2024年度の正規社員の賃金改善について、「実施した」は76.0%。「実施する予定」は3.9%となった。「実施した」「実施する予定」の合計は79.9%で、前年調査時と同水準となった。人手不足状況や物価動向を受け、多くの企業が賃金改善に対し前向きになっている。一方「実施していない(予定もない)」は15.5%となった。
業種別で「実施した」「実施する」の合計値を見ると、医療・福祉が88.9%で最も多く、次いで卸売・小売業(85.9%)、製造業(85.7%)と続いた。
賃金改善手法(正社員)
賃金改善の方法は「ベースアップ」が58.8%(前回調査時50.9%)で最も多く、次いで「定期昇給」(56.1%)となり、この2つの手法が大半を占めた。
賃金改善理由(正社員)
賃金を改善した(する)企業における改善理由は、前回調査に引き続き「労働力の定着・確保」が76.5%で最も多くなった。次いで、「昨今の物価高への対応」(47.8%)、「最低賃金の動向」(33.9%)と続いた。
なお、賃金改善を「実施していない(予定もない)」企業におけるその理由は、「景気の先行きが不透明」(35.7%)、「業績が低迷しているから」(32.1%)などが挙がった。
来年度(2025年度)の賃金改善予定 (正規社員・非正規社員)
来年度の賃金改善については、「実施する予定」が61.0%で最も多く、「未定」が25.4%、「実施する予定はない」が9.9%となった。「実施する予定」は前回調査結果(2022年度)の56.7%を上回り、本調査における過去最高値となった。賃金の改善基調が継続することが期待される。
最低賃金上昇の影響
最低賃金の上昇が経営に与える影響について、「大きな影響がある」が15.2%、「一定の影響がある」が44.2%で、計59.4%が「影響がある」とした。具体的な影響の内容として、「人件費増に伴う収支の悪化」(63.7%)、「求人募集の賃金上昇」(53.5%)などが挙がった。
県内景気動向調査結果(2024年10-12月実績、2025年1-3月見通し)
株式会社海邦総研(代表取締役社長:湖城誠一郎)はこのたび、県内景気動向調査を実施しました。その結果をご報告いたします。
県内景気動向調査(2024年10-12月実績、2025年1-3月見通し)
― 県内景気は緩やかに拡大している ―
【全体概要】
2024年10-12月期の県内企業の景況判断BSIは6.6の「上昇」超となった。原材料費の高騰や最低賃金上昇に伴う人件費負担の増加が企業収益を圧迫している一方で、入域観光客数は前年比増を維持し、これに関連した消費や投資は増加傾向にあることから「県内景気は緩やかに拡大している」。
一方、2025年1-3月期の景況見通しBSIは10.3。観光需要は底堅く推移する見込みであるが、人手不足の深刻化や原材料費の高騰が継続することから、コスト面での懸念は拭えない状況にある。価格転嫁は業態により進捗状況にばらつきがあり、収益改善には依然として課題が残されている。
【業種別概要】
観光関連 〔 コスト高の厳しさ増す 販売価格向上が課題 〕
- 10-12月期の旅行・宿泊業の景況判断BSIは-17.2で「下降」超となった。入域客数が好調な中でのBSIの低下は、繁忙期である夏場からの反動に加え、人件費やコスト高などによる利益を出しづらい状況が影響していると考えられる。
建設業 〔 3期ぶり「上昇」超、人員不足で受注抑制 〕
- 10-12月期の建設業の景況判断BSIは2で、3期ぶりに「上昇」超となった。観光回復を背景としたホテル建設や企業の不動産投資により、受注状況が良好だが、依然として建築費の高騰と人手不足が大きな課題となっている。
卸売・小売業 〔 コスト増と価格転嫁が続く 〕
- 10-12月期の卸売・小売業の景況判断BSIは6で若干の「上昇」超となった。仕入れ価格の高騰が継続し、これに併せて価格転嫁も進んでいる。ただし、一部の商品・サービスでは価格転嫁できない状況が見られる。
飲食サービス業 〔 閑散期で景況感悪化、最低賃金上昇が痛手に 〕
- 10-12月期の飲食サービス業の景況判断BSIは-13.6で「下降」超。観光繁忙期が終わったことによる景況感の悪化がうかがえる。原材料費の上昇が突出しているほか、最低賃金の大幅な引き上げが人員確保の障害になっている。
【雇用】
- 従業員数 〔 建設、医療・福祉、情報通信で不足感強く 〕
- 10-12 月期の従業員BSIは2で大きく「不足」超となっている。すべての業種で人員が不足する状況が見られる。
年末年始の営業日のお知らせ
お客様各位
平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、弊社では年末年始にあたり、下記のとおり休業とさせていただきます。
期間中、お客様には大変ご不便をおかけ致しますが、何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます。
今年一年のご愛顧に心より感謝申し上げますとともに、新年も変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
休業日:2024年12月28日(土)~2025年1月5日(日)
※1月6日(月)より営業を開始いたします。
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人手不足に関する調査結果
【調査結果概要】
人手不足の状況 (全体387社の集計)
回答企業387社において「深刻な人手不足である」が18.1%、「どちらかと言えば人手不足である」が56.8%となっていて、合計74.9%の企業が「人手不足」と回答した。昨年の調査結果(75.5%)と比較して、人手不足感はほぼ横ばいの状況が続いている。
業種別に見ると、「深刻な人手不足」の回答は飲食サービス業(33.3%)、建設業(29.0%)、医療・福祉(26.3%)に多く見られた。
不足している人材 (人手不足企業290社)※複数回答
- 「現場対応などの労働人材」が77.9%で最も多く、「特定の技能・資格などを有する人材」が37.9%で続いた。
人手不足が生じている理由 (人手不足企業290社) ※複数回答
- 「採用活動をしても応募がない」が3%で最も多く、「退職に伴う欠員」が51.7%、「需要の回復・拡大」が27.2%だった。
- 「採用活動をしても応募がない」は、製造業、旅行・宿泊業、飲食サービス業で多かった。
人手不足により生じている影響 (人手不足企業290社)※複数回答
- 「従業員の業務量過多」が55.2%で最も多く、「売上機会の損失」(51.4%)、「従業員の残業増加」(3%)が続いた。
- 財務面への影響について、「大いに影響がある」が20.7%、「どちらかと言えば影響がある」が51.0%で、両者の合計は71.7%となった。
- 職場環境・労働環境への影響について、「大いに影響がある」が31.7%、「どちらかと言えば影響がある」が54.8%で、両者の合計は85.5%となった。
人手不足解消に向け取り組んでいること (全体387社の集計) ※複数回答
- 「中途採用強化」が54.0%で最も多く、「待遇改善」(42.1%)、「高年齢従業員の採用継続」(30.2%)、「新卒採用強化」(29.5%)と続いた。
- 本文PDF -
県内景気動向調査結果(2024年7-9月実績、10-12月見通し)
【全体概要】
2024年7-9月期の県内企業の景況判断BSIは21.2の「上昇」超となった。急激な物価上昇局面で、家計の負担増加や企業における利益率の低下などのマイナス要因はあるものの、観光の顕著な回復が牽引し「県内景気は緩やかに拡大している」。
一方、10-12月期の景況見通しBSIは6.2で「上昇」超幅は小さくなっている。観光繁忙期を終えて、観光関連の需要が縮小することなどへの警戒感から厳しめの見通しが強まっているとみられる。
【業種別概要】
観光関連 〔 需要回復と単価向上で、売上・利益が改善、人手不足は常態化 〕
7-9月の景況判断BSIは67.6と大きく「上昇」超。観光市場は国内客、外国客共に回復しており、観光需要が回復する中で、販売価格、売上高、経常利益が高水準に推移したことが、景気改善に寄与したと見られる。
建設業 〔 2期連続「下降」超、人手不足で受注断念も 〕
7-9月期の建設業の景況判断BSIは-2.9となり、2期連続の「下降」超となった。技術者の人手不足により、受注を断念する企業が増えたことなどの影響があり、「下降」超が続いたとみられる。
卸売・小売業 〔 県外需要上昇が寄与し「上昇」超 コスト高の影響大きい 〕
7-9月期の景況判断BSIは31.7で「上昇」超。県内需要の改善が景況改善の主要要因となったほか、観光繁忙期により県外需要の下支えも大きかった。景況が悪化した企業では、県内需要の低下とコスト高が主な要因として挙がった。
飲食サービス業 〔 仕入れ価格高騰が顕著ながら、観光客増を受け好調 〕
7-9月期の景況判断BSIは62.5で大幅な「上昇」超。売上高BSIが58.3で大きく「上昇」超となったものの、経常利益は25.0と比較的小幅。仕入れ値が83.3と極端に高いことから、価格転嫁でカバーできていない様子が窺える。
【雇用】
従業員数〔 医療・福祉、建設、情報通信で不足感強く 〕
7-9 月期の従業員BSIは51.2で大きく「不足」超となっている。すべての業種で人員が不足する状況が見られる。医療・福祉、建設業、情報通信業、飲食サービス業、旅行・宿泊業で「不足」超幅が大きくなっている。
新人・若手社員フォローアップ研修
「沖縄県内泡盛製造事業者の HACCP対応等実態調査」 アンケート
価格転嫁に関する調査結果
【調査結果概要】
仕入れ価格の水準
仕入れ価格の1年前との比較は、「10~30%上昇している」が50.6%で最も多かった。次いで「10%未満で上昇している」26.2%が続いた。「30%以上、上昇している」は10.5%で、計87.3%の企業が仕入れ価格上昇に直面していた。業種別で見ると、飲食サービス業、旅行・宿泊業、建設業で「30%以上、上昇している」が多かった。
仕入れ価格の水準は「どちらかというと高額だ」が63.8%で最も多く、次いで「とても高額だ」(20.0%)で、計83.8%の企業が高額に感じていた。「適正である」は14.0%だった。業種別では、飲食サービス業と旅行・宿泊業で「とても高額だ」が多かった。資本金、従業員数別では、規模の小さな企業、地域別では北部と離島で「とても高額だ」が多かった。
1年間における価格転嫁の有無
この1年間における価格転嫁の有無について「価格転嫁をした」が55.4%、「価格転嫁をしていない」は36.2%となった。業種別で見ると、製造業、卸売・小売業、飲食サービス業で「価格転嫁をした」が多かった。資本金、従業員数別では規模の小さな企業で「価格転嫁をしていない」が多かった。
価格転嫁した企業のうち、利益確保については「できている」44.1%、「できていない」46.4%で拮抗した。業種別で見ると、不動産業等、情報・通信業で「できている」が多い一方、旅行・宿泊業、医療・福祉、飲食サービス業で「できていない」が多かった。
今後の価格設定
「価格転嫁を検討している」が34.4%、「価格転嫁を実施する」が32.9%となり、合計は67.3%となっている。
業種別で見ると、卸売・小売行、飲食サービス業、旅行・宿泊業で「価格転嫁を実施する」が多かった。医療・福祉やその他のサービス業では、「経営環境上、価格転嫁できない」が多かった。