県内景気動向調査結果(2024年10-12月実績、2025年1-3月見通し)
株式会社海邦総研(代表取締役社長:湖城誠一郎)はこのたび、県内景気動向調査を実施しました。その結果をご報告いたします。
県内景気動向調査(2024年10-12月実績、2025年1-3月見通し)
― 県内景気は緩やかに拡大している ―
【全体概要】
2024年10-12月期の県内企業の景況判断BSIは6.6の「上昇」超となった。原材料費の高騰や最低賃金上昇に伴う人件費負担の増加が企業収益を圧迫している一方で、入域観光客数は前年比増を維持し、これに関連した消費や投資は増加傾向にあることから「県内景気は緩やかに拡大している」。
一方、2025年1-3月期の景況見通しBSIは10.3。観光需要は底堅く推移する見込みであるが、人手不足の深刻化や原材料費の高騰が継続することから、コスト面での懸念は拭えない状況にある。価格転嫁は業態により進捗状況にばらつきがあり、収益改善には依然として課題が残されている。
【業種別概要】
観光関連 〔 コスト高の厳しさ増す 販売価格向上が課題 〕
- 10-12月期の旅行・宿泊業の景況判断BSIは-17.2で「下降」超となった。入域客数が好調な中でのBSIの低下は、繁忙期である夏場からの反動に加え、人件費やコスト高などによる利益を出しづらい状況が影響していると考えられる。
建設業 〔 3期ぶり「上昇」超、人員不足で受注抑制 〕
- 10-12月期の建設業の景況判断BSIは2で、3期ぶりに「上昇」超となった。観光回復を背景としたホテル建設や企業の不動産投資により、受注状況が良好だが、依然として建築費の高騰と人手不足が大きな課題となっている。
卸売・小売業 〔 コスト増と価格転嫁が続く 〕
- 10-12月期の卸売・小売業の景況判断BSIは6で若干の「上昇」超となった。仕入れ価格の高騰が継続し、これに併せて価格転嫁も進んでいる。ただし、一部の商品・サービスでは価格転嫁できない状況が見られる。
飲食サービス業 〔 閑散期で景況感悪化、最低賃金上昇が痛手に 〕
- 10-12月期の飲食サービス業の景況判断BSIは-13.6で「下降」超。観光繁忙期が終わったことによる景況感の悪化がうかがえる。原材料費の上昇が突出しているほか、最低賃金の大幅な引き上げが人員確保の障害になっている。
【雇用】
- 従業員数 〔 建設、医療・福祉、情報通信で不足感強く 〕
- 10-12 月期の従業員BSIは2で大きく「不足」超となっている。すべての業種で人員が不足する状況が見られる。